2012年4月18日水曜日

両院議員総会で反対意見が出る

衆院選で大敗した自民党は31日、再起への第一歩となる総裁選の日程を「9月18日告示・28日投開票」とし、9月中旬に予定される特別国会召集後とする方針を決めた。

首相指名選挙で、自民党国会議員は現職の麻生総裁(首相)を選ぶことになるが、惨敗の引責で辞任表明した首相の名前を書くことに抵抗のある議員も多く、党内には戸惑いと反発が急速に広がっている。

後継総裁については、谷垣禎一・元国土交通相、舛添厚生労働相を推す声が出ているほか、石破農相らが出馬に意欲を見せている。

首相は31日、党本部での記者会見で、総裁選の日程について、「党の再生を図るには、党員を含めていろいろな意見を十分踏まえる必要がある。特別国会召集までの意見集約は、物理的に難しい」と述べ、特別国会後に総裁選を行うべきだとの考えを示した。

総裁選を9月下旬に行うべきだと主張しているのは、細田幹事長や菅義偉選挙対策副委員長ら、首相に近い幹部が多い。党再生には、地方議員や党員の意見を反映させる必要があり、特別国会の召集前では、「時間的に制限がある」(細田氏)というわけだ。任期途中の総裁選ではなく、9月30日の任期満了に伴う選挙という事情もある。

しかし、党内には、選挙投票日の翌日、上京している議員が少ない時点で、執行部が一方的に総裁選日程を決めたことへの反発も起きており、党内対立の様相も生まれつつある。

加藤紘一・元幹事長は31日夜、首相指名選挙での自らの投票行動について、「白紙も一つの選択肢だ。今のところ、それしかない」と冷ややかに語り、白票を投じる考えを示した。都内で記者団に語った。

田村耕太郎参院議員も31日、「国民の審判で『ノー』と言われた『麻生』と書くのは民意に反する。あり得ない。両院議員総会などできちんと議論するべきだ」と記者団に強調した。

全国の党関係者から「なぜ、この日なのか」「A級戦犯の麻生氏になぜ、投票するのか」などの不満や批判の電話が相次いでいるという。

仮に首相指名選挙で「造反」が出れば、党再生は冒頭から頓挫する。執行部からは「造反者が出ないよう、今から各議員を説得するしかない」との声も出ている。

日程については、9月4日の全国幹事長会議、8日の両院議員総会で反対意見が出る可能性もあり、党の再生は冒頭から波乱含みだ。

世界同時不況の克服とアジアの成長力強化

世界同時不況の克服とアジアの成長力強化に向け、麻生首相が12日にタイで開かれる東アジアサミット(EAS)で表明する日本政府の提案の全容がわかった。途上国政府の財政支援のため、最大3千億円(約30億ドル)の円借款を提供するほか、各国の食料生産力向上のため、5年間で1千億円(約10億ドル)の支援と1200人への研修実施を行う。

東アジアサミットは05年に初めて開かれ、今年で4回目。ASEAN(東南アジア諸国連合)と日本、中国、韓国、インド、豪州、ニュージーランドの計16カ国が参加し、将来の東アジア共同体構築も視野に地域協力を進めている。今回は世界的な金融・経済危機を受け、「世界の成長センター」と言われるアジアの協調が注目されている。

首相は1月のダボス会議でアジア諸国に1兆5千億円のODA(途上国援助)供与を表明。その後の経済悪化を受け、今月、ロンドンで開かれたG20(金融サミット)で、2兆円規模への拡大を打ち出した。

今回はその使途として(1)途上国政府への財政支援(2)セーフティーネットの整備や農村・地方、保健医療、教育などへの支援など、金融危機の影響を受けやすい分野や人々への支援(3)道路、鉄道などのインフラ整備(4)財政・金融政策の立案・実施能力の開発支援(5)中小企業支援、貿易投資促進(6)低炭素社会の構築(7)人材育成、人的交流の促進――の7分野を提示する。

広域インフラ整備支援の具体案としては、インドのデリー―ムンバイの産業大動脈構想や、ベトナム・ホーチミンとインド・チェンナイ間の陸路の整備などで、海路で2週間かかる旅程を8日間に短縮する構想をあげる。

ASEANの相互緊急援助用の物資備蓄を支援するために約13億円(約1300万ドル)、災害時の情報通信システムの構築のために6億円(約600万ドル)の支援を表明する。

2012年4月17日火曜日

「党首脳会議」、「法案審議会」を設ける

民主党は8日、新政権発足後の党の最高意思決定機関として、鳩山代表や小沢幹事長ら主要幹部で構成する「党首脳会議」を設ける方針を固めた。党首脳会議では、国会対策や選挙対策など党運営に関するあらゆる課題について一元化して判断する。

現在、鳩山代表、岡田幹事長、小沢、菅両代表代行、輿石東参院議員会長の5人による「三役懇談会」が事実上の最高意思決定機関となっている。

これに対し、党首脳会議は代表、幹事長、政調会長(副総理兼国家戦略相)、参院議員会長、国会対策委員長の5人で発足する予定だ。鳩山代表が内定した人事に当てはめると、鳩山、小沢、菅、輿石の4氏に新たな国対委員長が加わる形となる。

週1回程度の定期開催とし、重要政策や選挙対策などについて協議する。ただ、現在検討されている案では、外相に内定している岡田幹事長が党首脳会議のメンバーから外れることになり、岡田氏を支持するグループの反発を招く可能性がある。

民主党はまた、政府提出法案に与党内の意見を反映させる場として、各省の副大臣が主催して与党議員と意見交換する「法案審議会」(仮称)を新設する方針を固めた。

政府の方針を副大臣が説明し、与党議員から修正点などの要望を聞く。各省の官僚も政府の一員として同席するが、与党議員の資料要求や質問に答えるのが主な役目で、政策判断はすべて国会議員が行うとしている。

2012年4月11日水曜日

戦略局は「国家戦略室」としてスタート

民主、社民、国民新の3党は8日夜、国会内で幹事長会談を開き、連立政権樹立に向けた調整を続けた。民主党は政権発足後に設ける党首級協議機関「基本政策に関する閣僚委員会」に、首相ではなく国家戦略局担当相が参加する原案を示した。

社民、国民新両党から強い異論は出なかったが、外交・安全保障政策を巡り社民党が日米地位協定の改定などを盛り込むよう求め、協議は難航。3党は9日に幹事長会談を再開し、まとまれば党首会談による最終合意を目指す。

8日夜の会談は、民主党の岡田克也、社民党の重野安正両幹事長と国民新党の亀井静香代表らが出席し、約2時間に及んだ。

閣僚委の原案として、社民、国民新両党から入閣する党首クラスと国家戦略局担当相をメンバーとする組織図を提示した。民主党は予算の骨格などを決める首相直属機関「国家戦略局」を新設する方針で、その担当相と副総理を兼ねる菅直人代表代行が党首級協議も担当することで、戦略局を中核とする政治主導の政策決定システムを印象づける狙いがある。

戦略局を設置するための関連法案が成立するまで当面、戦略局は「国家戦略室」としてスタートする。社民、国民新両党は両党のスタッフも戦略室に加えるよう求めたが、岡田氏は応じなかった。

2012年4月2日月曜日

公明党の存在感が失われた

公明党は8日、党本部で全国代表者会議を開き、衆院選惨敗に伴う太田代表の辞任を認め、新代表に参院議員の山口那津男政調会長(57)を選出した。任期は、太田氏の残任期間である来年秋の党大会まで。

会議では、北側幹事長の辞任に伴い、後任の幹事長に井上義久副代表(62)、政調会長に斉藤環境相(57)を新たに起用する人事も正式に発表され、新体制がスタートした。

山口氏は代表者会議で、「(衆院選で)党の独自性や公明党らしさを十分に発揮できなかった」と就任のあいさつを行った。民主党との関係については、「野党の立場から、言うべきことは言い、批判すべきことは批判する姿勢で臨む」と述べた。

全国代表者会議議長、北側氏は副代表に就任し、いずれも執行部に残留した。10月3日に全国県代表協議会を開き、衆院選敗北や、10年間に及んだ自公連立政権の総括を行う予定だ。

新旧の党幹部には、連立政権の評価を巡り、食い違いも出ている。山口氏の就任あいさつは、原案段階で「公明党の存在感が失われた」などと、マイナス面を強調する内容となっていた。しかし、太田氏が「表現がきつすぎる。連立の10年を否定するのはまずい」と待ったを掛け、厳しい文言が削られることになった。