2012年4月18日水曜日

世界同時不況の克服とアジアの成長力強化

世界同時不況の克服とアジアの成長力強化に向け、麻生首相が12日にタイで開かれる東アジアサミット(EAS)で表明する日本政府の提案の全容がわかった。途上国政府の財政支援のため、最大3千億円(約30億ドル)の円借款を提供するほか、各国の食料生産力向上のため、5年間で1千億円(約10億ドル)の支援と1200人への研修実施を行う。

東アジアサミットは05年に初めて開かれ、今年で4回目。ASEAN(東南アジア諸国連合)と日本、中国、韓国、インド、豪州、ニュージーランドの計16カ国が参加し、将来の東アジア共同体構築も視野に地域協力を進めている。今回は世界的な金融・経済危機を受け、「世界の成長センター」と言われるアジアの協調が注目されている。

首相は1月のダボス会議でアジア諸国に1兆5千億円のODA(途上国援助)供与を表明。その後の経済悪化を受け、今月、ロンドンで開かれたG20(金融サミット)で、2兆円規模への拡大を打ち出した。

今回はその使途として(1)途上国政府への財政支援(2)セーフティーネットの整備や農村・地方、保健医療、教育などへの支援など、金融危機の影響を受けやすい分野や人々への支援(3)道路、鉄道などのインフラ整備(4)財政・金融政策の立案・実施能力の開発支援(5)中小企業支援、貿易投資促進(6)低炭素社会の構築(7)人材育成、人的交流の促進――の7分野を提示する。

広域インフラ整備支援の具体案としては、インドのデリー―ムンバイの産業大動脈構想や、ベトナム・ホーチミンとインド・チェンナイ間の陸路の整備などで、海路で2週間かかる旅程を8日間に短縮する構想をあげる。

ASEANの相互緊急援助用の物資備蓄を支援するために約13億円(約1300万ドル)、災害時の情報通信システムの構築のために6億円(約600万ドル)の支援を表明する。