2012年5月7日月曜日

憲法解釈の変更で国際貢献活動が可能

「隠居状態」だった73歳の渡部恒三氏を国会対策委員長に引きずり出し、偽メール問題で負った傷を癒やそうともがく民主党。43歳の前原誠司代表は昨年9月の就任以来、「若さ」を最大の売り物としてきたが、実はメール問題が発生する前からベテランを後ろ盾にしようと試みてきた。その人選をみていくと、前原氏の狙いが透けて見える。

2月14日の役員会。前原氏は休眠状態だった党総合安全保障調査会を再び立ち上げることを決めた。集団安全保障に関する基本法の詰めの議論を進めるためだ。会長には小沢一郎前副代表に近い山岡賢次副代表を登用した。

前原氏が党内の安保論議を本格化するに当たり、最も気にかけていたのは小沢氏の意向といえる。「中国脅威論」や「集団的自衛権行使の限定的容認」を持論とする前原氏に対し、横路孝弘衆院副議長ら旧社会党系の党内左派は強く反発している。だが前原氏は左派の反対だけであれば、最後は数の力で押し切れると踏んでいたフシがある。

憲法改正を視野に入れる前原氏にとって、憲法解釈の変更で国際貢献活動が可能だと唱える小沢氏のほうが、議論がかみ合うだけに真っ向から反対されればやっかいな存在になる。政策的には「近親憎悪」の関係だけに互いに譲れない。岡田克也前代表の時代も2人の意見が折り合わず、昨年の衆院解散で議論が「水入り」となった経緯がある。

もちろん小沢氏の党内外への影響力の大きさも警戒した。特に前原体制に移ってから、小沢氏は前原氏と距離を置いている。前原氏の宿願である安保論議を進めるためにも小沢氏との間の緩衝材が必要だったというわけだ。