銀行の貸出秦議書についていえば、金融機関が適正な融資を確保するために当然に作成されており、監査とか検査とかでは見られるものなのです。当局の検査等の対象にもなっていて、所持者以外には見られないプうイベートな文書ではないのであって、まして第三者による利用が全く想定されていないような性質のものではないのです。
それを日本の最高裁は「民事訴訟では出さなくてもいい」というのですから、「監査や当局の検査では調べられるような書類も、民事訴訟では証拠として調べる必要がない」と最高裁は言っているに等しいのです。こういうことで泣かされるのは、責任追及の道が閉ざされた側=被害者(あるいは一般国民)であるということになります。
これでは、日本の民事裁判において、いつまでたっても証拠隠しの横行に歯止めはかかりません。せっかくの新民事訴訟法の定めも、まさに「絵に描いた餅」になってしまったかのようです。裁判においてさえそういうことでは、裁判外ではなおさらでしょう。
この問題については、裁判所の従前からの証拠提出に関する消極的な考え方や、役人たちが作った新民事訴訟法の条文の書きぶりなとがらすると、最高裁の判断も「伝統的な法解釈」のおり方としては誤りではないということになるのでしょう。
そもそも、新民事訴訟法ができる以前の法律では、証拠の提出を求めうる場合が限定的に定められており、その限定的な要件を満たさない限り証拠提出義務はない、という制度が長く続いていました。
あるいは、「勝つべき原告は、現在の手持ち証拠でも勝てるのが普通だから、現行法で不都合はない」という裁判官の意見もありました。これなどは、裁判官が実際の裁判結果が正しいと思いこんで何の疑問も持っていない証拠でした。
2014年11月14日金曜日
2014年10月14日火曜日
中英間で揺れる植民地
『香港領事動乱日誌上危機管理の原点』香港暴動とは、大陸のプロレタリア文化大革命に力を得た香港の左派勢力が大規模な反英・反政庁武装闘争を展開し、これに抗する香港警察・英軍との間で繰り返された衝突により多数の死傷者をだした一九六七年の事件のことである。香港を襲った第二次大戦後最大規模の騒擾であった。
北京は左派勢力の反英・反政庁闘争への全面的支持を表明し、香港への軍事的惘喝をつづけた。香港国境では中英間の銃撃戦さえおこった。海外移住者が続出し、地価・株価が暴落して香港は風前の灯火のごとくであった。中英の間で揺れる植民地のありようをシンボリックに示すものが香港暴動である。しかしこの重要事件について記述した文献はほとんどない。同時期に進行していた文革やベトナム戦争という巨大なドラマの陰に隠れて、世の関心を惹きつけることなく終わった事件であった。
著者はこの時期に危機管理担当の領事として香港に赴任し、在任中この事件に遭遇するという稀有の体験をもった。狼籍の限りを尽くす左派勢力に囲まれて不安と恐怖にうちふるえる三千人に近い在留邦人の保護の任務にあたり、この任をまっとうすべく足で集めた情報をもとに構成された本書の記述には迫力がこもっている。
私は知られざる香港暴動の真実を知りたくて本書を読んだのであるが、もちろん著者の関心は危機管理である。著者が日本の国家危機管理の第一線を担った剛毅の指導者であることは広く知られているが、香港暴動はその後の著者の思想と行動に大きな影響力を与える事件となった。香港暴動を最終的に収束させたものは英国政府と英海軍の屈することのない意思、機敏で迅速な軍事行動であった。このことを記す熱っぽい筆致の中に、国家危機管理に不誠実な対応しかできない日本の現状に対する著者のいらだちが読み取れる。
北京は左派勢力の反英・反政庁闘争への全面的支持を表明し、香港への軍事的惘喝をつづけた。香港国境では中英間の銃撃戦さえおこった。海外移住者が続出し、地価・株価が暴落して香港は風前の灯火のごとくであった。中英の間で揺れる植民地のありようをシンボリックに示すものが香港暴動である。しかしこの重要事件について記述した文献はほとんどない。同時期に進行していた文革やベトナム戦争という巨大なドラマの陰に隠れて、世の関心を惹きつけることなく終わった事件であった。
著者はこの時期に危機管理担当の領事として香港に赴任し、在任中この事件に遭遇するという稀有の体験をもった。狼籍の限りを尽くす左派勢力に囲まれて不安と恐怖にうちふるえる三千人に近い在留邦人の保護の任務にあたり、この任をまっとうすべく足で集めた情報をもとに構成された本書の記述には迫力がこもっている。
私は知られざる香港暴動の真実を知りたくて本書を読んだのであるが、もちろん著者の関心は危機管理である。著者が日本の国家危機管理の第一線を担った剛毅の指導者であることは広く知られているが、香港暴動はその後の著者の思想と行動に大きな影響力を与える事件となった。香港暴動を最終的に収束させたものは英国政府と英海軍の屈することのない意思、機敏で迅速な軍事行動であった。このことを記す熱っぽい筆致の中に、国家危機管理に不誠実な対応しかできない日本の現状に対する著者のいらだちが読み取れる。
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